1116  私に出来ること

 私は人に借りを作ってばかりいる。この借りはいつか返すから、なんて言いながらも、きっとまともに借りを返せたことは、多分、ない。
 ああ、私は周囲の人達に支えられて生きているんだなあと、それなのに何も恩返し出来ていないんだなあと、私は自分の無力さを実感するのである。



 1118  移ろい行く季節の中で

 家の近所には高校があり、私は毎日その高校のグラウンドの横を通る。フェンスに沿っていろんな種類の木がたくさん並んでいる。その道を通るたび、私は季節の移ろいを実感するのである。春は桜の花びらが桃色の絨毯を作り、夏は深い緑の葉の隙間から木漏れ日が降り注ぎ、秋は赤く染まった落ち葉が風に舞い、冬は裸になった木々が白い雪の衣を纏う。ずっとこの場所に留まっていたいと願っても、時間はそれを許してはくれない。名残惜しく思いながら、私は駅までの道を急ぐのである。
 今日の帰り道、落ち葉が風に飛ばされて道路の隅に追いやられていた。冬が秋を追い出そうとしているように見えた。秋はまだ退きたくないと言ってもがいているようだった。けれど、風は容赦なく落ち葉を吹き飛ばしていた。力尽きる直前の最後の抵抗なのだろうか。ひらひらと舞う赤い葉は、儚くて美しかった。もう、冬はすぐそこだ。