0707  空と地上に引き裂かれた私たち

 黒雲に阻まれて天の川が見えない。織姫と彦星は会えただろうか。同じ空に生きている二人なのだから、私には見えなくても、きっと今頃二人は再会しているに違いない。
 星になったキミを想う。彼らは一年に一度必ず会えるのに、私とキミは、キミが星になった五年前から一度も会っていない。いつもいつも黒雲に邪魔されてキミを見つけられない。私とキミは、織姫と彦星よりもずっと遠く離れている。



 0709  不感症

 最近何も感じられなくなっている。大声で笑うことも、我慢できずに涙を流すこともない。星空を見てもなんの感慨も湧かないし、悪口を言われても腹を立てない。以前は、ほんの少しのきっかけで私の心は敏感に反応し、声を発していたのに。
 些細なことで敏感に反応していた私の心は、もう砕けてしまったのかもしれない。



 0720  氷点下の思い出

 遠い日の記憶は氷漬けにされ、胸の一番深いところに保管されている。どうしてだろう。決していい思い出だけではなかったはずなのに、凍りついた思い出は儚くて、美しい。時間が長い年月をかけて、記憶から消したい部分だけを削り取るのかもしれない。私は、その思い出に嫌なことなど一つもなかったように錯覚し、一番美しい思い出に手を伸ばしそうになる。けれど、本当は知っている。決して解凍してはいけないことを。もしも常温に戻してしまえば、毎日泣いたあの日々が再びやってくるのだ。