0411  花びら、ひらひら。

 降り続いていた雨がようやく上がった。雨粒を全身に纏った桜の木に目が留まる。暴力的な雨にあんなに激しく痛め付けられたのに、それでも桜の木は凛とした表情で立っている。
 柔らかな風が吹き、桜の木を優しく撫でる。桜の木は花びらの涙をぽろぽろとこぼして泣き始めた。きっと風が擦れ違いざまに慰めの言葉を囁いたのだろう。いくら気丈に振る舞っていても、本当は怖かったに違いない。彼女は、やはり女なのだ。
 どんなに気の強い女でも泣く時は少女のようだと思う。そんな彼女を見て、私は自分を重ねた。私もきっと強がっている。