1204  空と地上で見つめ合うキミと私

 私は電車が来るのを待っていた。退屈なので、過ぎ行く人々を眺めたり、携帯電話を弄んだりして時間を潰した。
 空を見上げたけれど、街のイルミネーションに邪魔されて星を見ることは出来なかった。私はキミを見つけられなかったことを悲しく思い視線を落とした。
 私の前を通り過ぎる人々の中の一体何人が、夜空に星が見えないことに気付いているのだろうか。日々の生活に追われた人間は空を見る余裕などない。以前の私がそうだったように。しかしそれはとても寂しいことだと思う。
 私はもう、空を見上げることを忘れた寂しい人間には戻りたくない。



 1213  粉雪が舞う夜に

 電車から降りると、たった今生まれたばかりの粉雪がちらちらと舞っていた。闇の夜空に純白の雪が映えて眩しい。
 睫毛に舞い降りた雪は瞬きをするとすぐに溶けて消えてしまった。私の瞳が濡れているのは、雪のせいなんかじゃない。



 1216  まだ何色でもないベンチ

 この声が枯れるくらいに君に好きと言えばいいのに。
 その声が枯れるくらいに私に好きと言ってくれればいいのに。
 人目も憚らず自分の想いに素直になれたらどんなに素敵だろう。私はこの想いを過去形になんてしたくない。



 1218  射ち堕とされた私の心

 泣き虫なはずの私が最近ちっとも泣かなかったのは、今が満ち足りているからなのだと、そう思っていた。けれど、久しぶりに涙が出た。しかも、歌を聴いて。
 胸が締め付けられて涙が止まらない。なんて切ない歌詞。なんて切ない物語。なんて切ない旋律。
 きっと私は泣きたかったんだろう。涙がこぼれるきっかけが必要だっただけだ。



 1227  いつも、こんなに側に

 君からもらった二つ目のピアス。今までで一番大きなムーンストーン。
 私の耳たぶでゆらゆらと揺れる珠は太陽の光を受けてきらきらと光る。私は指で突っついて更に揺らす。それはまるで、私の言動で一喜一憂してる君を弄ぶ私そのもので、私は君のようなそのピアスをとても愛おしく感じた。



 1228  ふれていたい

 短いキスが好き。一瞬触れ合う唇は次の瞬間にはもう離れていて、もの足りず何度も求めるのが好き。
 けれど意地悪で独占欲の強い私は軽いキスなど大嫌い。紫色の痕がつくまで激しく吸い付いて、私の存在を君の体に刻み込もうとする。
 淡白で軽いキスを求める時こそが、私が幸福であることの証明なのだ。