0803  耳元に君の鼓動

 君の胸に顔を埋めると、君の鼓動が聞こえる。それがいつもより速いことに私は気付く。私の息が君の胸にかかる。それがいつもより熱いことに君は君は気付いているだろうか。
 夜が永遠に明けなければいいと思う。腕の中でお互いの存在を確認し合う。私たちは、こうやって寄り添い合って生きているんだ。



 0811  明日はきっと晴れる

 君は一体どんな気持ちで眠りに就いたのだろうか。悲しみで枕を濡らしたかもしれない。怒りで眠れなかったかもしれない。
 君は優しく私を気遣ってくれたのに、私ときたら本当に大人気なくて、私の苛立ちを全て君にぶつけてしまった。きっと君は呆れただろう。
 ごめんなさい。今夜は私も心を痛めて眠るから、こんな私を哀れだと思って許してほしい。そして明日は君の笑顔の隣で眠らせて。



 0818  命日

 キミが天国に行ってしまってから今日でちょうど四年。
 私の生活はあの頃と180度変わったけど、キミを思う気持ちはあの頃のまま。
 去年も一昨年もその前の年も、黒い雲に邪魔されて星になったキミに会えなかったから、今回こそはキミに会いたい。天気予報が本当なら、今夜はキミに会えそうだ。



 0819  空見上げ、君想う。

 昼間はとても晴れていたのにと、私はやはり落胆するのだった。どうしてもキミに会わせてはくれないらしい。
 目には見えなくても、私にはキミが光り輝いている姿がちゃんと見えるよ。そう空を見上げて心の中で呟くのも、今年でもう四回目である。そんな昨夜。



 0825  消毒液

 背の低いグラスに大きなロックアイスを落とす。幅がぴったりで、身動きの取れなくなってしまったロックアイスは、早く溶けてしまいたいと私を見上げて懇願する。私は急かされて、氷だけのグラスにお酒を注ぐ。
 こんな風に一人でお酒を飲むようになったのはいつからだろう。お酒をおいしいと思うようになったのは、何年くらい前だっただろうか。
 私はグラスに人差し指を入れ、ゆっくりと掻き混ぜた。アルコールが、指先の小さな傷口にしみた。