1101  まだ届かない夢

 かじかむ手を一生懸命伸ばして掴もうとするものがある。震える指先はまだそれには届きそうにないのだけれど、それでも尚、掴もうとしている。
 諦めが悪いと笑えばいい。私はまだ、希望を捨てたくないだけだ。



 1102  星になったキミ

 空にはたくさんの星が瞬いていて、私はこの中には間違いなくキミがいるのだと確信した。キミと過ごした遠い日々は、今でも私を勇気付けてくれる大切な記憶。
 挫けてしまいそうになる夜、私はこうしてキミに会いに外へ出る。僅かな逢瀬は私に希望を与え、明日を迎える勇気に変えてくれる。私はキミに見守られている喜びを胸に明日を待つ。



 1103  恋に破れた女の結末

 私はどうしてもあなたが好きだったから、たとえどんなに酷い仕打ちを受けようと、私は一向に構わなかった。あなたから傷付けられる覚悟はあっても、決別する覚悟はなかったのだ。
 あの頃、あなたにさよならを告げる勇気が私にあれば、私は今、新しい恋に踏み出せていたのだろうか。私が恋愛を始めるのに臆病なのは、ただ単にあの頃の私のせいなんだろう。



 1104  蒸発しない涙

 いつか私に喜びの涙を流させた君は、今度は私に悲しみの涙を流させた。
 どうしてこんなにも泣き虫なんだろうと私は自己嫌悪に陥る。意地悪な君は、きっとそんな私を陰で見ながらほくそ笑んでいるのだろう。



 1105  自分を好きになりたいのに

 一日一日は確実に通り過ぎていくけれど、私はまだ動けない。進まないといけないのに、私は背後に忍び寄る過去の自分の影に怯えながら、それでもまだ進めないでいる。
 私は今、自分を好きになる努力を怠っている。



 1106  縄を解いて、私を自由にして

 胸が、痛い。
 誰かの手によって体内から取り出された私の心は、細い縄でぐるぐるに巻かれて再び体内に戻された。この締め付けられるような胸の痛みは未だ緩和せず、いつまでも私を苦しめる。
 誰かこの縄を解いて、私を楽にさせてほしい。縄の痕が紫色に滲んでいたとしても、その方がきっと、今よりもずっと解放される。



 1108  私を放っておけない君

 私に構うくらいなら放置してくれればいいのに。優しさが残酷なのだということに、君は気付くことなんてないんだろう。
 でもその優しさが君の良い所だと知っているから、私は君を嫌いになることなんて出来ない。だからこそ私は余計に苦しくなる。



 1109  笑顔の行方

 君のあの言葉は本当だったのかどうか、とても気になっている。もし本当なら、私は君に悪いことを言ったかもしれない。きっと冗談だろうと思ってまともに取り合おうとはせず、素っ気ない一言で君の言葉を片付けてしまったことを、今になって悔やんでいる。
 君が時々見せる元気のない顔は、私の表情をも曇らせる。ねえ、笑ってよ。そしても私も笑わせてよ。



 1111  うさぎとかめ

 笑ってればいいよ。何やってんだよって。無駄なことはやめろよって。
 あんたたち、人を笑ってる余裕があるなら自分の心配をした方がいい。最後に笑うのは私の方なんだから。



 1112  渦の中で回る結論

 深夜に洗濯をする。
 まるで着替えをするように、自分を他の誰かと入れ換えられたらどんなにいいだろう。自信に満ち溢れている彼女は輝いていて、私はそんな彼女をこの身に纏いたいと思った。つまらない私はその間、ぐるぐる回る洗濯機の中に放りこんで洗ってしまいたい。
 それでも私は、こんな自分と一生付き合っていかなければいけないから、半ば諦めながら自分自身を受け入れる覚悟を決めた。その時、まるで合図のように、ドアの向こうからは脱水が完了したことを知らせる電子音が鳴った。



 1113  空に恋をした少女

 妹は幼い頃、いつかきっと空を飛べる日が来ると信じて鳥の羽根を集めていた。私はそんな妹の趣味を気持ち悪いと思っていた。妹が新しい羽根を手にして帰宅するたび、私は妹を馬鹿にしていた。
 夢を見ようとしなかった20年前の私は、月日が流れて大人になった。今の私は日々の課題をこなすことに精一杯で、あの頃と変わらず大した夢も持たずに生きている。妹はというと、空を飛ぶ夢は叶わなかったけれど、結婚というささやかな幸せを手にし、小さな娘が健やかに成長することを夢見て生きている。



 1115  全ては星の下

 私は確かにすぐに落ち込むから、味方となる人が周りにいて私を守ってくれないと、私は伸び伸びと自分を出せない。こんな風に本音を言える場でもないと、私の本音は葬られてしまうから、毎日こんなことをしているのはもはや必然だとも思う。



 1116  旅立って行く君

 君に背を向けられた私は、結局この場所に取り残された。これで良かったのだと思う自分と、やっぱり寂しいと感じる自分と両方いて、なんだか混乱している。
 きっと、いつか望んだ未来が少し早めに訪れただけだ。それだけのことだ。



 1117  制裁

 なんとかなると思って楽観的に考えていたけれど、どうやらもう、どうしようもないところまで来ているらしい。
 あまりにも感度が鈍すぎて、私は自分自身を恨む。焦っている振りをしていただけで、本当はちっとも危機感なんて持っていなかったことを、私はようやく認めはじめた。



 1118  白か黒か

 欲張りになるべきか、謙虚であるべきか。
 勝負に出るべきか、それとも着実に行くべきか。
 大きな夢を見るべきか、小さな夢から一つずつ叶えていくべきか。
 
 今の私は全てが中途半端で、いくつもある選択肢を唯の一つも選びきれていない。選択ミスを恐れない勇気を持つことが出来たなら、私はもっと自分を好きになれるのに。



 1120  決別の時

 私達は向かい合っていた体を引き離し、身を翻して背を向けた。私達は確かに向かい合っていたけれど、視線はなかなか合わなかった。見つめ合うタイミングがずれていた二人の当然の結果。
 けれど、お互いを断ち切るための決別であるはずなのに、私の背中に感じる君の体温はとても温かかった。心地良い温もりを背中に感じて、私は安堵する。
 名残惜しい別れはこれで何度目だろう。触れていた君の背中が離れる。先に一歩目を踏み出したのは君の方だった。君の眼前に伸びている道が未来へ通じていることを願う。



 1122  捨てられないプライド

 私はまだ、粉々になってしまった自分のプライドを、今も尚守り続けている。もう十分格好悪いのに、まだ格好つけようとするのはどうしてなのか、自分でも理解しかねる。



 1123  ココロリセット

 気持ちが高まる速度が遅い。けれど、気持ちが鎮まる速度も遅い。のろまな私の心のスピードは周囲に取り残されて、気が付けばいつも独り呆然と立ち尽くしている。
 今頃君は嘲笑っていることだろう。それでも私はこんな自分を受け入れているから、君にどう思われていようとも、自分の決断に後悔はしていない。



 1125  家へ帰ろう

 自分自身に迷いがある時、私の心は家出をする。探さないでくださいという置き手紙付きで。
 やっと頼りない主人の体から離れることが出来た彼女は、ふわふわと漂いながら、あわよくば他人の体に棲みたいと願う。けれどその企みは果たせない。私以外の誰も彼女を受け入れてはくれないからだ。
 行き場を失くした彼女はようやく私のことを思い出す。彼女は帰るべき場所を知り、泣きながら私の元へ戻ってくる。私は両手を広げて彼女を受け入れる。半分怒りながら、半分泣きながら。

 私は彼女の主人。けれど、彼女がいなければ私は私ではない。もう彼女に愛想尽かされないように、私は自分の意志をしっかり持たなければならない。



 1126  君の言葉は針にも綿毛にもなる

 胸の奥の一番敏感なところを鷲掴みされたような。或いは、鋭い針で何度も突付かれるような。
 絶え間なく私を襲う様々な痛みはいつまでも私を楽にしてはくれない。もしも君の綿毛のような優しい言葉がこの傷を撫でてくれたなら、きっと痛みはあっという間に引いていくのに。



 1127  緩やかに流れる時間

 夜が来るのが待ち遠しくて、私は何度も時計に目をやる。けれど残酷なまでに時間の流れは正確で、私はのんびり屋さんな時計を、流れる時間を憎らしく思う。
 私の逸る気持ちは時間を追い越して早く早くと手招きをするけれど、時間はあくまでマイペースでいうことを聞いてくれない。



 1129  寒い夜に、君を想う。

 凍えそうな部屋に生まれては消える白い溜息。こんなに冷たくなった体でも、吐く息が空気を白く変えるほど体内は温かいのだということに気付く。
 この溜息が君の元に届くといい。そして、私の憂鬱の理由を君は悟るといい。
 君を想って吐き出される溜息は、今ので一体いくつ目だろう。願わくば、この憂鬱を全て君が引き取ってくれればいいのだけれど。



 1130  顔向けできません

 君はきっと知らないだろう。君の独り言を私が聞いてしまったことに。
 君の本音は、こっそり聞き耳を立てている私を傷付けた。そして、私の軽率な行動によって君を傷付けたという事実にも傷付いた。
 私は軽はずみで、後でいつもこんな風に自分の行動を悔いている。何をやってるんだろう。