0301 悲しみから生まれるもの

 悲しい出来事や辛い経験をした時に書く文章は、どうして普段よりも上手く書けるんだろうと思うのです。感傷的な気持ちでいっぱいの時は、様々な感情が心の中で渦巻いて、楽しい毎日を送っている時には絶対書けないような表現とか言い回しが浮かぶような気がします。
 私が上手い文章を書けたと思うのは、心の中で思ったことを上手く文字に変換できた時。ここ最近、それが上手く出来てるのは、未だにあなたが遠くに行ってしまったことから立ち直れないからなのです。



 0302 いつも笑顔でプラマイゼロ

 私はとても得をしていると思います。第一印象は大体感じのいい人だと思ってもらえるし、あなたの笑顔はいいね、と言ってもらえます。いつも、あなたには周りの人を明るくするチカラがあるんだよ、なんて誉められて。そのお陰で手に入れたものは数知れず。

 けれど。

 私はとても損をしているとも思います。好きな人と別れる最後の瞬間まで笑っていようとするし、ものすごく悩んでいたとしても決して周りには気付かれないように振舞います。いつも、どうして素直になれないの?、なんて責められて。その所為で失ったものは数知れず。

 出来るだけ笑っていたい。そう思ってるだけなんだけど。



 0304 桜は、まだ咲かない。

 夜の気温は刺すように冷たいけれど、もう3月。部屋の中ではもう充分春物の服で過ごせるくら暖かい。
 昼の気温はぽかぽかしてきたけれど、まだ3月。家の外ではまだちっともコートが手放せないくらい寒い。

 暦の上では既に春なのだけれど、私の体は未だに冬の木枯らしに吹かれて冷えきったまま。寒くて寒くて、コートを脱ぐ気にもならない。私が一番気に入っているコートは大切な思い出が染み込んでいて、まるであの頃、私を後ろから抱きしめてくれたあなたのように、私の体をやさしく包んで温めてくれます。

 だから、少しずつ温かくなりだしているここ最近、そのぬくもりを手放したくないからか、あなたの思い出がたくさん染みこんだこのコートを脱げないでいるのです。



 0306 帰る場所

 世界の隅っこ。6畳1K。散らかってる部屋。PCの明かり。ディスプレイの中に並べられた文字。

 それが私にとっての毎日だったはずだった。でも、少し違った毎日を体験したくて、この部屋を飛び出して外の世界を見てきたら、そこはまだとても私が居座るにはごちゃごちゃしすぎていて、すごく興味はあるけど、近づいたらこっちが痛い目を見そうな雰囲気があって、少し怖かった。世界は広い。本当に。

 結局私は、目の当たりにした今までとは違う世界に怖気づいて、自分の部屋に帰ってきました。私はここでコソコソとテキストを書いてる方がよっぽと性に合う、と思いました。



 0307 ヌードな毎日

 家に帰った途端、服が邪魔になる。
 玄関を開けて鍵を閉めると私はすぐに服を脱ぎだす。だってリラックス出来ないから。シャツ一枚でも、靴下片方でも、家に帰った瞬間それらは私の自由を奪う拘束具に成り下がってしまう。
 心も体も軽くなりたいから、私は今夜も裸で眠る。



 0311 彼女の生きる道、私の生きる道。

 私とあなたは本当に偶然に出会って、励まし合いながら、指摘をし合いながら、お互いを高め合っていたと思うのだけれど。

 誰かが言った。物語軸が重なったただけ。

 私達はこんなに広い世界で偶然知り合って、スタンスは違えど、同じ場所で同じものを目指した。それまではお互いを全く知らずに生きてきたのに、全てはお互いの歩んできた軌跡が上手い具合に交わって、そして出会った。けれど。

 そう、物語軸が重なっただけ。

 確かにそうだ。そうだったはずだった。だから当然こういう結末もあるということも、私は覚悟していたつもりだったのに。その、今まで重なっていた物語軸が逸れて行って、私達はお互い違う道を歩むことになった。彼女は彼女の道を、私は私の道を。

 いつの日かまた、その軸が重なることを願って。



 0312 曇りのち晴れ

 雨はまだ止まない。
 空を覆うチャコールグレーの雲は少しずつ色を濃くしている。私の心もつられて段々曇ってくる。
 周りからの影響を受けやすい私は、もっと自分らしさを確立しなければいけないと思った。いちいち挫けてなんかいられない。ぐずぐず悩んでなんかいられない。だからもう、胸を張って進むしかない。
 私はもう病まない。



 0313 どうしても変わらないといけないのか

 私は何一つ変わっていないのに、私の周りを取り巻く環境がどんどん変化していって、何だか一人で取り残されている気分。私はその変化に飲まれたくなくて、一生懸命地に足を付けて踏ん張っているのだけれど、変化の波に今にも飲まれてしまいそうで、怖い。あくまで自分のペースで前に進んで行きたいのだけれど、周囲は私だけを取り残させようとしない。そんな私は、焦ってしまって現状を維持することも徐々に出来なくなってきている。

 自分で変わりたいと思っている時はなかなか変われないのに、変わりたくない時に限って周囲は私の背中を押す。世の中って上手く行かない。



 0314 真っ白な日

 今日はホワイトデーらしいですよ。私は会社の男の子に義理チョコをあげただけなんで、お返しとか全然してもらえないし、普通の日と変わらないんですけど。私は本来、義理でもなんでも、大体チョコは手作りだったんですけどね、でももうそんなことも面倒になって、今回は買いましたチョコ。
 でも、アレですよね、恋人のいる皆さんは、今夜は熱い夜を過ごすのでしょうね。ホワイトデーだし、週末だし。みんな私の分まで幸せに今日の夜を過ごしてください。私は今夜も残業です。
 スケジュール帳の今日の欄は真っ白。週末なのに仕事以外に何の予定もない、哀しい25歳女子。



 0317 素直じゃない私が素直になれる瞬間

 子供の頃に、悪戯をして父に怒られたことが何度もある。

 大声で怒鳴られて叱られている時は、実は心の中で段々腹が立っていて、なんでそこまで言われなきゃいけないんだろうと内心ムッとしているのだけど、散々叱られた後にふと優しい声で「お前に正しいことをして欲しいからなんだよ」なんて言われると、もうダメ。私はなんて莫迦だったんだろうって。いつもすぐに泣き出して、素直に自分が悪かったと認めることが出来た。

 それから20年経った今でも変わらない。世間にはいろいろな人がいるのだろうけれど、私の周りには良い人ばかりで、私は彼らに救われながら生きている。



 0318 苦いコーヒーの甘い思い出

 ブラックコーヒーがあまり好きではなかった私。

 昔好きだった人はブラックコーヒーが大好きで、私と外で食事をする時はいつも食後にブラックコーヒーを頼んでいた。その度に私に向かって「お前も飲んでみるか?」と言ってきて、私は躊躇いながらコーヒーカップに手を伸ばした。そしてその後私は決まって苦い表情をするのだ。

 ドライブの時も、ドリンクホルダーにはいつも缶コーヒーが置いてあって、私は、コーヒーを飲めるなんて彼は大人だなあと、ただ単にそれだけの理由で格好良く見えた。缶コーヒーの隣にはミルクティーが、いつも並んでいた。「お前は子供だなあ」と、いつも笑われていた。

 最近私はブラックコーヒーが好きになってきた。濃いのは相変わらず苦手なので、アメリカンにしてマグカップに注ぐ。もし彼が今「お前も飲んでみる?」と聞いてきたら、私は躊躇いなくコーヒーカップに手を伸ばすだろう。そしてその後私は必ず美味しそうな表情が出来る。



 0319 性欲は極限を越えてしまいました

 火が点きました。火を点けられてしまいました。私の体が今とても熱いのは、あなたのせいです。
 やっぱり私はいつも極端すぎる。でも、それが私なのだと堂々と言える。
 どうしてくれるんですか。



 0320 私が私を好きになるために

 自分のことが大嫌いになる瞬間が多々あって、本当にウンザリするのです。その度に私は自分を罵倒して、どんどん自分を追い込んでしまいます。ますます萎縮してしまって、本当の私はそこで殺されてしまう。悪循環。

 本当の私を知っているのは私だけなのだから、私はもっと、私をかわいがってあげたいと思います。自分のことを好きにならないと、私が可哀想だから。

 あなたは?



 0324 やがて夜が明け、朝は来るけれど。

 夜、ちゃんと眠りに落ちることが出来ない。うとうとしてしまっていつの間にか夢の世界。そしてけたたましい目覚ましのベルにたたき起こされて、いやいやながらベッドから出る。なかなか眠れなくて、なかなか起きられない、ここ最近。
 もっとちゃんと夜を終えたいのに。もっとちゃんと朝を始めたいのに。



 0325 楽をしようとしたツケ

 私はスタートダッシュが苦手。いつもラストスパートで本領を発揮する人間で、最後の最後で苦しい思いをしながら間に合わせている。最初から少しずつでも努力をしていたら、後でこんなに苦労することもないのに。学生の時の試験前なんて一夜漬けばかりで、毎回辛い思いをしていた。でもそれは全て自分の所為。解かってるんだけど。

 大人になった今でも、やっとエンジンが掛かるのはいつもギリギリの〆切直前。仕事も、創作活動も。ああ、解かってるんだけど。



 0326 キスがしたい。

 キスがしたい。キスがしたい。とにかく無性に、あなたとキスがしたいのです。
 私がキッチンで料理をしていると、あなたは一人つまらなさそうに歩み寄ってきて、私にちょっかいを出してくるんです。私が「危ないからテレビでも見てて」と言うと、母親に構ってもらいたいのに構ってもらえない寂しがり屋の子供のように、ふてくされながらも私から離れないのです。そうこうしているうちに、あなたは背後から私をふわっと抱きしめて、耳元で「ねえねえ」って囁くんです。私が「どうしたの?」って振り返ると、あなたは私に不意打ちのキスをするんです。
 そんなことを考えていたら、ますますあなたとキスがしたくなりました。



 0327 スイートカクテル

 昨日の夜、仕事の帰りに後輩とご飯を食べようと、レストランバーに寄った。以前、あれだけ酒漬けだった私が飲んだ、久しぶりのお酒。ソルティードッグやファジーネーブルとか、柑橘系のお酒が好きで、前は毎日毎日飲んでいたのだけれど。
 お酒を飲まないと眠れなかった私は、最近ノンアルコールでも眠れるようになった。あの時期は、夜は泣いてばかりいて、お酒の力を借りないと眠れなかった。あの人のことを思い出して、切ない思いで飲んでた日々。毎日飲んでた頃は、お酒の美味しさなんて、よく解かっていなかったのだけれど、今なら解かる。解かる気がする。
 昨日飲んだソルティードッグは、あの頃毎晩流していた涙の味に、少し似ていた。



 0328 こんなふうに胸が痛む夜もある

 当時、彼女は何でも揃ってる人でした。知性も器量も富も名声も。私が持っていないものを全て手に入れていた人で、その頃私が好きだった男をも、彼女は手に入れてしまいました。
 私は彼女のことが大嫌いだった。本当は心の奥底では羨ましく思っていたくせに。憧れるより、嫉妬する方が楽だったのです。それが私の弱さ。
 先日、彼女がその頃持っていたもの全てを今は既に失っているということを人伝いに聞いた時、ちょっと嬉しく思ってしまった自分を、今度は大嫌いになってしまいました。



 0329 私の創作活動をことごとく邪魔するアイツ

 応対しても応対しても電話のベルは鳴り続ける。処理しても処理しても未処理の書類は増えていく。片付けても片付けても机上のファイルは溜まっていく。

 定時で帰れる日なんて月にせいぜい2〜3日だし、帰宅は毎日10時過ぎだし。ひどい時には日付変わってるし。本来土曜日は半日だったはずなのに、いつの間にやらフルタイムだし。最近は祝日も仕事だし、代休なんてある訳ないし。有給なんて取らせてくれないし。しかも残業手当も休日出勤手当ても出ないし。仕事は増える一方だし、人は減る一方だし。

 誰かお願い。定時に帰らせてください。休日出勤をやめさせてください。家に仕事を持って帰らせないでください。お給料が今の半分になっても構わないから。
 誰かお願い。私に小説を書く時間をください。



 0330 女王様にでも奴隷にでもなってあげる

 私は、自分はサディストだと思っていた。今までセックスをした人はマゾっ気のある人が多くて、そんな彼らを言葉で責めるのはとても快感だったし、大きな声を上げて感じてくれるのが嬉しかった。なにより、そんなに喜んでいる男を見ることで、私も感じることが出来た。

 でも。

 私にも、マゾヒストの要素は多分にある。今までセックスをした人の中でサドっ気のある人が何人かいて、そんな彼らに言葉で責められるのはとても快感だったし、力で捻じ伏せられたり征服されるのは嬉しかった。なにより、そんなに感じる私を見て興奮する男を見ることで、私は更に感じることが出来た。

 でもさ、前から思ってたんだけど。サディストとマゾヒストって本当に紙一重。
 サディスト気分で男に奉仕させてても、それってもしかしたらその男に責められてるのかもしれない。マゾヒスト気分で男に奉仕してても、それってもしかしたらその男を責めているのかもしれない。
 けれど、いずれにしろ、私は相手が興奮することで更なる興奮が得られるというのは変わらないみたい。サディストとマゾヒスト、どちらの役回りになったとしてもね。

 動物占いでは、私は黒豹らしい。以前雑誌で読んだんだけど、黒豹のセックスにおける心理的分析によると、黒豹女のセックスは、相手の好みに合わせて自在に変化するんだそうだ。確かにそうかも。私は、相手が感じてくれないと自分も感じないから、相手が感じるように自分を変えているように思う。だって相手が感じるのが一番気持ちいいんだもん。

 私は自分がサディストかマズヒストかなんてよく解からない。でも、はっきり言ってどっちだっていい。だから、あの人が自分はサディストだと言うのなら、私は喜んで彼に屈する。