0201 ゴメンと言えなくて

 思わず言ってしまった言葉。咄嗟に出てしまった心無い言葉。本当はそんなことを言うつもりはこれっぽっちもなかったのにと、言ってしまった後に激しい後悔の波が私を襲いました。そして、あなたの悲しそうな表情が、私の心に突き刺さりました。

 一度口から出てしまった言葉は、もう飲み込むことは出来ない。巻き戻し機能の無い、使えないポータブルCDプレーヤーと同等の存在価値しか見出せない自分に苛立ちながら、それでも素直に謝ることが出来ない私です。



 0205 忘れゆくこと

 キミがいなくなってから、一人でこの部屋に居ることに徐々に慣れてきてしまってます。隣に感じるキミの体温もそろそろ忘れそうです。忘れたくなくて、いつものようにキミに会いにあの部屋に行きますが、やっぱりキミがいつも隣に居たあの頃の感覚をそのまま思い出すのは難しいのです。

 時の流れとは怖いもので、どんなに大切な人でも、大切な物でも、側に無いとその想いは薄れます。人間は動物よりも"忘れる"という能力が優れていると或る本で読みました。キミには私のこと忘れないでと願っておきながら、私はキミのことを少しずつ忘れていってるなんてね。自分勝手。だから私はキミのことを忘れないように、いつもあの部屋に行くのです。



 0206 どうでもいいこと

 どうでもいいこと。
 将来ちゃんと年金が貰えるのかということ。
 夏期社員旅行は何処になるのかということ。
 賞味期限が二日過ぎたパンは食べても大丈夫かどうかということ。
 昔の男が今どうしてるのかということ。

 でも正直な話、どうでもいいと思ってることって、割とどうでもよくないことだと思います。だから、どうでもいいと思いながらも、心の隅ではちょっと気になってたりするのです。



 0207 逆境ニモマケズ

 頑張っても頑張っても努力が報われない時は確かにあって、そんな時、本当は死力を尽くしたつもりでも、実はまだ何か出来ることがあったんじゃないかと言い聞かせている往生際の悪い自分を発見します。特に最近は、いつも向かい風が吹き付けてきて私を邪魔するのですが、イヤだイヤだと思いながらも、実はそれも案外悪くなかったり。

 ソルトレークオリンピックを記念して、こんな小話など。
 スキーのジャンプでは、向かい風が有るのと無いのとでは記録が大きく変わってくるんだそうです。スキー板で向かい風を受け止めることで、その風圧で飛距離が伸びるんだそうです。でも、その風に乗り切れずにバランスを崩すと良い記録は出ないんだそうです。プロの選手も初めから巧く風に乗れてた訳じゃない。何度も失敗して、何度も雪上に叩きつけられたからこそ、今の彼らがいるんです。そしてプロであっても巧く乗れないことも当然のようにあって、挫折と克服の繰り返し。

 だから私がまだ巧く向かい風に乗れないのは当たり前なのです。何度も現実という地面に叩きつけられながら、やがてどんな向かい風でも、徐々に臨機応変に乗れるようになるのでしょう。もちろん何度もバランスを崩しながらでしょうけれど。だからいつか、その向かい風を利用して、きっと、もっと遠くまで飛べるはず。



 0211 涙が止まらない日

 久しぶりの手紙です。

 毎日キミに会いに行ってるけど、やっぱりキミは動かなくて、いつも同じポーズのままで。私は、こんな休日の昼間はキミのことばかり想っていつも苦しくなるんです。今だって誰よりもこんなに愛しいのに、この気持ちがキミまでちゃんと届いてるのかどうか、私には判らないんですから。

 昨日ね、「キミとボク」っていう作品を教えてもらいました。それを見て、またキミの最後の瞬間を思い出して、やっぱり涙が止まらないんです。私は彼くらいキミのためにいろいろやってあげられたでしょうか。キミはこのギンくんくらい私のことを想ってくれているでしょうか。その自信が湧いてこないのは、やっぱり私にはまだ出来ることがあったのだろうに、キミがまだこの世に生き続けることに諦めてしまった自分の所為。

 いつも泣いてばかりで勇気のない、こんな私でもいいですか?
 私はキミを忘れないから、キミも私の側にいてください。そして「ガンバレ」って励まして。そしたら私もまだまだ頑張れそう。



 0212 いつも心に太陽を

 大好きなキミの思い出は、今でもこの胸の中で輝き続けているのです。それは太陽みたいに眩しくて、じんわりと温かくて、こんなに寒い日でも心の奥でほんのりと熱を放ち続けて、私の体の隅々まで暖めてくれます。でもその思い出の奥の奥まで思い出そうとして虫眼鏡でそれを覗くと、その熱は途端に攻撃的になり私を焦がすのです。それなのに、そうなることが判っているのに、私はすぐに虫眼鏡を使ってそれを見るものだから、いつも火傷をしてしまって、その度に傷薬を塗るのです。楽しい思い出が表面を覆う悲しい真実を、いつまでも忘れないように、私はあえて火傷を覚悟で虫眼鏡を使うのです。

 私の心が闇に覆われたら、その眩しい光で私の心を照らしてください。そして、私の心が冷えた時は、私のことを温めてください。温かく、時に熱く。



 0214 実らなかった恋

 例えば花。一生懸命咲こうとしても、激しい雨に流されたり、雪に潰されたりして、必ずしも開花するとは限りません。太陽の光を見る前に力尽きてしまうことなんてよくあること。でも、例え力尽きても、頑張って摂り入れた養分は土の中に還元され、いつかまたその場所に違う花を咲かせるのです。

 だから、恋なんてものはいつか実るようになってる。それが世の摂理というもの。



 0215 解かってよ、この気持ち。

 「あなたのことなんて、もうどうでもいいから」
 本当にどうでもいいと思っていたら、どうでもいいなんて言いません。



 0217 ホントのトコロ

 知ったような口ぶりで、この場所でうだうだと何やら語っているけれど、実の所、私は何一つ解かっていないんです。しかも思うことが日々バラバラで、支離滅裂もいいとこです。この場所は、私の自己満足と自己嫌悪のみで作られてます。

 実際、私はこう思うんだ、ってことを吐き出せる場所はここなんです。
 多分、ここで書いているようなことを現実の世界で口走ったら、驚かれるのがオチなんです。
 結局、本音をぶちまけられるのはここしか無かったんです。
 だから、私が思ったことの少しでも、誰かが共感してくれたらいいなあなんて期待しながら、今日も私はキーボードを叩くのです。



 0219 色褪せない記憶

 髪を掻き上げた彼女の耳には、私がかつて男からもらったキャッツアイのポストピアスとそっくりなものが付けられていて、ふいに彼を思い出すことになりました。甘い思い出と苦い思い出が交互に呼び起こされて胸がチクチクしたので、流れた時間とそれ以降の男の数を計算することでその痛みは多少和らげられたのだけど。

 こういう記憶はタチが悪い。恋じゃなくなればなくなるほどタチが悪い。



 0220 感度良好

 人差し指でツンってされただけで、一気に絶頂にまで達してしまうくらい敏感になりたいんです。心も、体も。



 0221 無彩色の世界

 チャコールグレーのニットジャケットを着てホームに立っている時に思いました。空はあんなにも青くて、雲はこんなにも白いのに、私の周りは見渡す限りのモノクロ。街も、人も。何だか嫌になってきます。規則的に並ぶ建物も、すれ違う人々の虚ろな目も、その中に違和感無く溶け込んでいる自分も大嫌い。

 明日はスカイブルーのセーターを着てみようと思います。そうしたら、何かが少しは変わるかもしれない。



 0222 星空ノムコウ

 夜空を見上げたら黒いスクリーンには無数の星屑が映し出されていて、その星の一つ一つに物語があるのだと思うと何だか神秘的で、暫らくの間星空を見上げていました。

 キミはこの中にいますか?
 そこから私が見えていますか?



 0225 ココロトカラダ

 心と体は全く別物のようで、実はちゃんと繋がっているんですね。目で見た物に、耳で聞いた音に、素直に感動したり悲しんだり怒ったりします。
 心と体は直結しているようで、実は切り離されてるんですね。思ってもいないことが口から出てしまったり、いつも思っていることをなかなか伝えられなかったり。

 どっちなんだろうって、ふと思ったんです。外部から内部に情報を取り入れる時は直結しているのに、内部から外部に情報を放出する時は切断されてる。不思議な事実。どっち、どっち。



 0226 それが解かれば苦労しない

 基本的に臆病なんだと思います。

 ふざけたことばかり言っているようで、実は他人が想像している自分像の枠を飛び出すことが出来ない。24年間築いてきた私という枠を打ち破るほど壊れたことは、今まで一度も無いと思います。そしてこれからも無いと思います。
 人並み以上の好奇心を持ち合わせているくせに、人並み以上の警戒心も持っていて、自分が他人に介入するのは好きなくせに、他人が自分に介入してくるのは大嫌いなのです。自分と他人の間にしっかりと線を引いていて、ここからこっちには入ってこないでと言っておきながら、自分はその線を自由に横切っているのです。

 私はそんな訳の解らない女なのです。自分自身も訳が解らないのです。でもそれを知ろうとすることは滑稽なんだと思います。そしてそれを知ろうとしても不可能なんだと思います。



 0227 フェロモン

 その時風上から漂ってきたその匂いは明らかに彼の匂いで、忘れかけていたその匂いを思い出そうとしたのですが、その確信とは裏腹に曖昧な記憶しか出てこなかったので、結局諦めてしまいました。そうこうしているうちに匂いは消え、どこからその匂いが漂っているのかも、その匂いの持ち主も判りませんでした。

 私は彼の匂いがとても好きで、抱かれるとその匂いでいっぱいになれて、その瞬間がとても好きだったんです。今考えるとどうしてなんだろうと思うんですが、その匂いに包まれることで安心できたんです。

 私にとって、その人の匂いって結構重要。甘い蜜に誘われてそれに向かうカブトムシのように、匂いってものは本能的なものなのです。きっと。



 0228 恋トイウモノ

 好きなら好きって言えば良いんです。たった二文字です。0.5秒で言えます。

 でも人は、このたった二文字を伝えるのにすごく時間がかかります。それまでに幾度と無く悩んだり、泣いたり、腹が立ったりするのですが、些細なことで喜んだり、笑ったりもして、相手の反応に一喜一憂。

 たった一言。でも、一秒にも満たないこんなにも簡単な言葉なのに、それを伝えるのはとても難しいことなんです。